Blade of Arcana用シナリオ1「ゆがんだ愛情」

プレイ人数……4〜5人

プレイ時間……3〜5時間

*始めに
 このシナリオは、最終的に鎧を着ない状態での殺戮者との戦闘になる可能性が大きいので、そこを踏まえた上で戦闘を行ってください。


推奨アルカナ(位置は関係ありません)

▼PC1・アダマス
 昔、物語の舞台となるウェビック城の城主、ライアスに仕えていました。因縁を過去・主人で、ライアスを与えておいてください。

▼PC2・アングルス
 ライアスの娘、エミリアとは、子どもの頃友達として仲のいい間柄でした。∵天真∵のためにも。因縁を過去・友人で、エミリアを与えておいてください。

▼PC3・ステラorアルドールorアダマス
 ミリアの結婚相手であり、婿入りしてくるヴィルヘルムの教師役、あるいは剣の師匠で雇われていました。因縁を過去・主人でヴィルヘルムを与えておいてください。

▼PC4・ルナ
 情報収集、という設定で必要になります。因縁を過去・友人でヘルベルドを与えておいてください。


シナリオでは関係ないけど、戦闘であったら有利なアルカナ

▼1・グラディウス
 対決ステージに必要です。ぜひほしいところ。

▼2・ディアボルス
 武器無しでも、∵魔器∵で装備を呼べるのがおいしいところ。可能なら武器が魔器であることを望みますが、野暮はいいっこなし、でしょう。いるだけで、かなり有利なはず。

▼3・魔法使い関係
 対決ステージでは色々と有利です。付与できるエフェクトスとか、マーテルはもちろんの事、アクシスだってなんだって……


キャラクター間の因縁

 やりやすいように、適切な因縁を持たせてあげてください。すでに持っている場合、持たせる必要はありません。


舞台

 エステルランド王国の東端にある、ウェビックと呼ばれる地方領の城が舞台です。


殺戮者

“素手”のライアス

▼アルカナ
アクア=アダマス=グラディウス

▼プレイヤー情報
 昔、戦場で活躍した事により、領地を与えられました。その当時、彼は引き締まった体であごひげがよく似合う偉丈夫という風体でしたが、現在は太り気味で、その面影はありません。
 これは、城の人間だけではなく、領地の人間なら誰しも知っていることですが、最近になって妻のローサが死んでしまいました。
 城の人間は、妻が病で死んでしまった事によるショックが、領主を変貌させた、と思い同情しています。

▼マスター情報
 実情は違います。暴飲暴食は、妻が死んでしまった事によるショックと欲求のはけ口を、ローサとうりふたつのエミリアに対して向けてしまった事により、己が狂気に触れ殺戮者となってしまったその悪徳が成せる行為なのです。
 以来、娘を犯し、食らいたいという欲求を、戦場による戦闘と暴飲暴食、という二つの行為によってごまかしてきましたが、それも数日後に迫ってきた愛娘の結婚式をきっかけにして、いよいよ弾けてしまいます。彼は、衝動的に娘を呼びつけ、犯し、食らおうとします。

▼能力値
体格:25 反射:15 共感:14 知性:14 希望:0(彼は、妻を失ってしまった事により悲嘆に暮れ、完全に絶望してしまっています。彼に希望は残されていません)
HP:50 AP:15

▼技能
〈格闘〉●●● 〈回避〉●●● 〈運動〉●●  〈自我〉●●●  〈知覚〉●●

▼装備
武器、鎧共になし

▼特技
《真撃》 《間合い》 《鉄拳》 《手刀》 《無刀取り》 《硬気功》 《縮地》 《八重垣》 《金剛》 《修羅》 《二刀流》

 もし、PCが強い場合、これに加えて《三連撃》をくわえてもいいでしょう。

▼奇跡
∵因果応報∵ ∵無敵防御∵ ∵死神の手∵ ∵不死∵ ∵天真∵ ∵模造∵ ∵絶対攻撃∵ ∵爆破∵

 その他、プレイヤーの人数の関係上、加える必要性が発生する奇跡としては、∵模造∵をもう一つか、あるいは∵真名∵というところでしょうか。


NPC情報

“愛らしき”エミリア・ライアスドーティル

▼アルカナ
アングルス=ステラ=オービス

▼プレイヤー情報
 亡き母、ローサの面影を強く残すが故に、父親のゆがんだ愛情の標的となる娘。
 その見目麗しい容姿は王女ヒルデガルドにもおとらない、とは領民の弁ですが、それは少々誇張のしすぎ、というところでしょう。本人は、いささか世間知らずな一面を持っています。
 ヴィルヘルムとはここ半年のうちに婚約が決り、結婚となってしまいましたが、彼に対して運命的なものを感じており、一度出会ったその時から、彼のことを心の底から愛してしまいます。

▼マスター情報
 “聖痕者”となる運命を持っています。
 

“聡明なる次男”のヴィルヘルム・エイリクソン

▼アルカナ
デクストラ=アダマス=コロナ

▼プレイヤー情報
 ウェビックの近隣の領地であるヘイデルランド、という領地を治めるヘイデルソン家の次男として産まれました。同じく次女のヴィルヘルミナとは、双子の関係でした。本人は爵位継承権争いまったく興味がなく、日がな一日、錬金術の研究に明け暮れていましたが、キャラクターに様様な事を学び、ヘデルランドに覆う利権目当ての政と商人の癒着などを知ります。

▼マスター情報
 彼は、PC3が去った後、ヘデルランドを救うべく動き出しますが、ときすでに遅く、すでに兄の“強欲”イングヴァルドは、自らの持つ第一位の爵位継承権をゆるぎのないものにしていました。この裏側には、彼の母親であるグンヒルドの姿がありますが、その事は知らずにいます。
 ヴィルヘルムは、そのまま父であるエイリクにより、さして力を持つ事のないウェビックのエミリアに無理やり婿として嫁がせてしまいます。しかしながら、この行為が将来、ヘイデルソン家の滅亡につながる事になるのです。
 彼もまた、“聖痕者”となる運命を持っています(シナリオの展開によっては、殺戮者となることもあります)。

 

ヘルベルド

▼アルカナ
ルナ=アルドール=アダマス

▼プレイヤー情報
 PC4の悪友でしたが、ライアスに見出され、今では近衛兵の一員となっています。


登場シーン

▼シーン1・アダマス
 ウェビック領領主、ライアスの自室に招かれ、数日後執り行われるエミリアとヴィルヘルムの結婚式に招待したことを伝えます。ここで、ライアスは昔よりも太っていることを伝えてください。
 もし、奥さんは? と、PCが尋ねたら妻が死んだ事云々を伝えてあげてください。
 また、ライアスが妙に太っていることを尋ねたら、「なぜか最近、食が太くなってしまってな」と笑いながら答えます。

▼シーン2・アングルス
 結婚式を数日後に控えるエミリアは、旧友を呼び出してその親交を暖め会った後、切々と婚約者であるヴィルヘルムに対する想いを語りつづけます。
 そして、ふと黙りこくり、右手の甲を見せ、最近になってこんな痣みたいなのができたの、とステラの紋章を見せます。ただ、それ以来、慢性的な偏頭痛に悩まされている、と訴えます。
 これは、ヴィルヘルムと出会い、彼女の本当の運命が幕を明けた事を意味します。

▼シーン3・ステラorアルドールorアダマス
 ウェビック城の庭で、ヴィルヘルムと出会います。彼はひとしきり彼(彼女)に対して、昔、自分に様様な事を教えてくれた事を感謝し、今回の婚約、結婚は父親と兄の謀略だが、むしろその事には感謝している、と言います。
 エミリアとであったのは運命であったと言って、自らの額にあるコロナの紋章を見せます。ただ、この城についてから、妙に紋章がうずくと訴えます。

▼シーン4・ルナ
 たまたまウェビック城の城下町に立ち寄ったルナPC。町は活気に溢れ、お祭り騒ぎとなっています。そんな町の酒場で、ルナはあまり明るくない面持ちのヘルベルドに出会います。
 ヘルベルドは、町が活気な理由を、“愛らしき”エミリアが“聡明なる次男”のヴィルヘルムと結婚するせいだ、と教えますが、彼の表情はうかないままです。
 理由を尋ねられると、

「ここの領主のライアス様は、奥様のローサ様が死んで以来、無意味に辺境の騎馬民族と戦闘を繰り返したりしている」

 と訴え、その原因を探ってもらいたい、と頼んできます。本来なら、自ら調査したい、とのことでしたが、今彼は近衛兵という要職にあり、そんな行動はおいそれととれないのです。
 現在城は、宴の真っ最中であり、場内を自由に動き回るためには礼服、もしくはドレスが必要になるだろう。加えて、あいにく自分は呼びの礼服を持っていないので、自分で調達してもらう事になるだろう、と言います。もし協力してくれる仲間がいるなら、彼等の分の報酬も出そう、とも。
 報酬は、必要経費込みで50フローリンで、前渡で25フローリンを手渡しておきます。


登場シーン1〜3における共通事項

 城は、現在結婚式の前夜祭、とでも言うべき宴が続いており、諸侯や著名な騎士たちが集っています。そのため、城の内部を自由に動き回るためには、礼服が必要になります。
 ですから、礼服を持ち合わせていないキャラクターは、借りる、もしくは仕立て屋で既製品の服を買う事になります。
 借りる場合、キャラクターに【希望】ロールを行わせ、失敗した場合は彼(彼女)に会う礼服がないことにしてください。これは、展開シーンでのシーンに関わります。
 なお、登場シーンの時間軸は前後しても構いません。


展開シーン

▼シーン1・城下町の仕立て屋
 共通事項で解説しましたが、礼服を借りる場合、キャラクターに【希望】ロールを行わせ、失敗した場合は彼(彼女)に会う礼服がない、として、町の仕立て屋に向わせるよう促してください。そこで、キャラクターは、何人かが出会う事になるでしょう。

▼シーン2・城の一室
 無事借りる事ができたキャラクターは、仕立て直すための部屋で顔をあわせる事になります。ここでは、展開シーン1で登場したキャラクターは登場できません。

▼シーン3・宴の場・マスターシーン
 出会えなかったキャラクターを、ここで出会わせるようにしてください。
 なお、下記の情報は、城内で〈交渉〉に成功すれば入手できるものです。

情報

情報1・男爵
 ヴィルヘルムは、父であるエイリクと兄のイングヴァルドにより、無理やり婿入りしてしまいましたが、そのあたりの事情を説明してくれます。

情報2・お手伝い。
「ローサ様とエミリア様は、まるで生き写しのようです」

情報3・エミリアの世話をしているメイド
「ライアス様はエミリア様を溺愛しています」

 ここまでは、普通に成功して手に入れることができる情報です。以下の情報は、〈交渉〉がクリティカルによる情報、あるいは、宴の場を離れ、別行動を取ったキャラクターが、〈交渉〉によって入手できる情報です。もし、別行動のキャラクターが出た場合、シーンを別にしてください。

情報4・メイド長
「暇をうけたメイドの実家から、その女性が自宅に帰っていないと連絡を受けましたが、ご主人様は帰ったはずだとおっしゃいました」

情報5・近衛兵1
「いなくなったメイドを、最近領主の執務室で見かけたなぁ」

情報6・近衛兵2
「誰もいれるな、と言われている部屋があるが……これは内緒だぞ」

 なお、シーンの最後、〈知覚〉に成功したキャラクターは、5人前の食事を乗せた台車を押したメイドが、宴の場を出て行くところを見かけます。メイドは、呼びとめられると、

「これは領主様のお食事で、これからお届けにいくところです」
「最近のライアスの食欲は、その、少しへんです」

 といいます。もしキャラクターが一人でも彼女についていく、と言ったなら、そのままシーン4に移行します。情報収集のため、別行動にでることになったキャラクターは、シーン4に登場することができません。

▼シーン4・ライアスの部屋
 PCがメイドと共に部屋に入ってくると、ライアスは迷惑そうな顔一つせずに、快く受け入れ、

「どうだ。一緒に食わんか?」

 と誘ってきます。PCがその誘いに乗る乗らないに関わらず、ライアスは食事を始めます。
 その食事の様子は、まるで豚かなにかのようで、ステーキなどはナイフで切らずにかぶりつき、スープはうつわから直接すする、というありさまで、およそ領主とはいえないようなテーブルマナーです。
 もし、PCが、あなたは殺戮者になってしまわれたのではないか、などという質問をしたなら、

「わははは、この俺が殺戮者か。たしかにこの食事のさまを見ればそうおもうかもしれんな。最近、どうにも腹が減りやすくて、マナーを気にしていられるほどではないのだ」

 と、笑って答えます。

 シーン4(別行動を含めた場合は、シーン8に変化)を迎えた時点で、夜を迎えてしまい、城内を自由に歩く事はできなくなります。

 PCが城内の調査を行う、と言った場合、〈隠密〉−1Dのペナルティーで行い、成功したら、以下の情報を手に入れることができます。ただし、これは1シーンにつき一度のみで、時間の都合上、3シーン以上行う事はできません。ファンブルしたら、見まわりの兵士に見つかり部屋に戻されてしまい、情報収集に出かける事ができません。
 もし調査したいPCが、ここを調べたい、と訴えているようなら、GMはそれを認めるようにしてください。当然ながら、明かりを使って探索する場合、見まわりの兵士に見つかる可能性が大きくなります。この場合は、〈隠密〉に失敗したらファンブル、ということになります。

情報7・執務室
 鍵がかかっています。鍵開け道具を持っている場合、〈隠密〉でロール。成功すると中に進入できます。
 執務室は暗く、何があるのかわかりません。暗闇を見ることができる特技を持っている場合、どこに何があるのかわかりますが、ない場合は〈知覚〉−2でロールさせてください。ファンブルすると、物音を立ててしまったことになり、見まわりの兵士が駆けつけてしまいます。
〈知覚〉に成功すると、メイドの靴を、デスクの引きだしの中から見つけます。

情報8・用途不明の部屋
 近衛兵2からその存在を知らされる部屋です。鍵開け道具では開ける事ができない、頑丈な扉です。

情報9
 エミリアらしき人物の後姿を見ますが、おいかけても見失ってしまいます。クリティカルした場合も同様ですが、その場合は、用途不明の部屋に向った事がわかります。

▼シーン5−1・ヴィルヘルム、混乱
 翌日早朝、ヴィルヘルムが、エミリアがいなくなった、と訴えてきます。
 昨夜、情報収集で、情報8を入手した、もしくは情報9でクリティカルを出したPCがいた場合、彼女がどこにいるのか、マスターから「あの部屋にいそうなきがする」と、教えてあげて下さい。
 昨晩、情報収集を行わなかった、もしくは失敗してしまった場合、シーンを切り替えて用途不明の部屋があることを、伝えるようにしてください。
 シーン10−1にうつります。
 ただし、自発的にエミリアの部屋に向う、というキャラクターがいた場合、シーンは8−2にうつります。

▼シーン5−2・エミリア行方不明
 エミリアの部屋をノックしても、返事がありません。中にはいっても、エミリアがいません。
 すぐにヴィルヘルムが訪れ、PCに事情の説明を求めます。そのほかは、シーン5−1と同様です。

▼シーン6・情報収集
 昨晩、時用法収集を行わなかった場合、このシーンにうつります。メイドや巡回の兵士に対して〈交渉〉を行うためのシーンです。成功したら、用途不明の部屋があることを伝えてください。
 シーン10−1にうつります。
 失敗したら、次のシーンにうつります。

▼シーン7・悪徳の始まり1
 シーン6で失敗したら、このシーンにうつります。PC1のみ、〈知覚〉+1ボーナス、それ以外はそのままで、〈知覚〉ロールを行わせ、成功すると用途不明の部屋を発見できます。
  シーン10−2にうつります。
 失敗すると、次のシーンにうつります。
 このシーンが終ると、悪徳が行われます。PCそれぞれのDPを1下げて、鎖を1枚与えてください。

▼シーン8・悪徳の始まり2
 シーン7で失敗したら、このシーンにうつります。PC2のみ2Dで【希望】ロールを行い、成功したら用途不明の部屋に足が向かいます。
 シーン10−3にうつります。
 失敗したら、次のシーンにうつります。
 ここで、もう一度悪徳が行われます。PCそれぞれのDPを1下げて、鎖を1枚与えてください。

▼シーン9・悪徳の始まり3
 ヴィルヘルムがなにかに招かれるように、分厚い両開きの扉の部屋に向います。彼は、なんとかして扉を開けようとしますが開きません。
 PCが、某かの方法で攻撃を行うと、簡単に扉は壊れ、開きます。
 シーン10−4にうつります。
 なお、ここでさらに悪徳が行われます。PCそれぞれのDPを1下げて、鎖を1枚与えてください。

▼シーン10−1
 PCたちが、開かない扉を何らかの方法(攻撃すれば、簡単に破壊する事ができます)でブチ破ると、手かせをさせられ、鎖で壁に吊り下げられた夜着のエミリア(気絶しています)と、鞭を持ったライアスがいます。部屋の中は腐臭が漂い、床のあちこちに人骨が並べられています。悪徳の発生です。鎖を1枚ずつ配ってください。
 ライアスは訪れてきたPCを睨んでこう叫びます。

「ヴィルヘルム! この俺の大切な女を奪い去ろうとする薄汚い男! そして、俺の女と親しげに話す憎き聖痕者よ! 俺の女は誰も渡さん! 死んでもらうついでに貴様らの聖痕もいただくぞ! 捧げよ聖痕! これより殺戮の宴なり!」

 対決ステージにうつります。

▼シーン10−2
 PCたちが、開かない扉を何らかの方法(攻撃すれば、簡単に破壊する事ができます)でブチ破ると、手かせをさせられた上で鎖で壁に吊り下げられたエミリアと、鞭を持って興奮し、息を荒げているライアスがいます。エミリアは、ライアスに幾度も鞭打たれ、着ている夜着も切れ切れになっています。
 部屋の中は腐臭が漂い、床のあちこちに人骨が並べられています。悪徳の発生です。鎖を1枚ずつ配ってください。
 ライアスは訪れてきたPCを睨んでこう言います。

「貴様ら、俺の邪魔をしにきたか。だが、まぁいい。お前等が聖痕を差し出すというのなら、ここは許してやろう……くっくっくっ……捧げよ聖痕! これより殺戮の宴なり!」

 対決ステージにうつります。

▼シーン10−3
 PCたちが、開かない扉を何らかの方法(攻撃すれば、簡単に破壊する事ができます)でブチ破ると、手かせをさせられた上で鎖で壁に吊り下げられ、右足を膝から切り落とされて気絶寸前となっているエミリアと、切り落とした足の肉を食らっているライアスがいます。悪徳の発生です。鎖を1枚ずつ配ってください。
 ライアスは訪れてきたPCを睨んでこう叫びます。

「ふははは! もう遅いぞ! 俺の女は、あと僅かで俺の血肉となり、俺と共に生きていくのだ! 己が無力さに嘆け! か弱き聖痕者よ! そして我が前に聖痕を差し出すのだ! 捧げよ聖痕! これより殺戮の宴なり!」

 対決ステージにうつります。

▼シーン10−4
 PCたちが、開かない扉を何らかの方法(攻撃すれば、簡単に破壊する事ができます)でブチ破ると、体中を切り刻まれ、絶命しているエミリアと、エミリアの死体を犯しているライアスがいます。悪徳の発生です。鎖を1枚ずつ配ってください。
 ライアスは訪れてきたPCを睨んでこう叫びます。

「ローサの聖痕は全て我が物となった! これで我の一つの望みは果たされた! 後は永久の命を得るだけだ! そのために貴様らの聖痕者をいただくとしよう! 捧げよ聖痕! これより殺戮の宴なり!」

 対決ステージにうつります。


対決ステージ

 ヴィルヘルムは現在、殺戮者と初めてであったこととライアスが殺戮者であったことによるショックで、戦闘に加わる事ができません。彼は、部屋の入り口近くにおり、中には入ろうとしません。
 このステージとなる部屋の壁には、ハルバードが二つとラウンドシールドが一つ、それにバスタードソードが飾られています。武器がない場合、これを使わせるようにしてください。ただし、これを手にするためには、以下の手順を取らなければなりません。

1・壁に駆け寄るために全力移動しなければならない。すでにエンゲージしていた場合、通常の手順をもってエンゲージをはなれれば、壁に駆け寄る事ができる。

2・壁から外すには、マイナーアクションで構わないが、投げ渡すにはメジャーアクションとなる。受取る側は、もし、渡す相手よりもAPが高かったなら、行動を遅らせて受取らなければならない。そのターンの2ndから攻撃できる。

3・なお、どの武器も一度に一つしか渡す事はできない。

 また、ヴィルヘルムは儀礼用としてケルパーソードを一振り携えいます。貸してくれ、と頼まれたなら、彼は素直に貸すことでしょう。

 

*注意!!

▼シーン10ー3からこの対決ステージにうつった場合
 ヴィルヘルムとエミリアは聖痕者として目覚めます。戦闘には参加しませんが、もし万が一PCが敗北しそうな場合、ヴィルヘルムは∵無敵防御∵を、使い、エミリアは唯一残った聖痕である∵活性化∵を使います。

▼シーン10ー4からこの対決ステージにうつった場合
 ヴィルヘルムはこの対決終了後、殺戮者として目覚めてしまいます。殺戮者となった彼は、ライアスの悪徳を止められなかったPCに激しい敵愾心を抱いています。
 その場でPCたちに戦いを挑もうとはしませんが、後日力を蓄え、PCたちに襲い掛かる事でしょう。解放された聖痕を奪い、自分が殺戮者となってしまったことをPCに教えるような愚は犯しません。殺戮者となった彼は狡猾であり、将来を見とおして行動ができる知恵者なのです。
 また、このシーンの場合、ライアスはエミリアの聖痕も持つ事になりますが、この聖痕を使うことはありません。


終局ステージ

▼シーン10−1もしくは2を通過して、聖痕を解放した場合
 PCのDPを回復してください。
 その後、二人の結婚式は、この事件をきっかけにしばらく先延ばしにされます。二人は、後日改めて執り行われる結婚式には、全員招待しますと、PCに約束します。

▼シーン10−3を通過して、聖痕を解放した場合
 エミリアの聖痕は、すべて彼女の体に戻っていきます。もし、PCの中に∵再生∵を持つキャラクターがいて、使用していない、あるいはエミリアが∵活性化∵を使っていなかった場合、エミリアの体は元通りになります。
 もしなかった場合、後日、ヴィルヘルムが丹精こめて生身と遜色のない義肢を作り上げ、彼女は元通りになります。また、二人の結婚式は、この事件をきっかけにしばらく先延ばしにされます。
 二人は、後日改めて執り行われる結婚式には、全員招待しますと、PCに約束します。
 PCのDPを回復してください。

▼シーン10−4を通過して、聖痕を解放した場合
 戦闘が終了し聖痕が解放されると、ヴィルヘルムは殺戮者となり、その場からいなくなっています。彼は、PCに勝てるだけの聖痕をえるために旅だったのです。
 PCのDPを回復してください。
 なお、ウェビックは、ヘイデルランドに併合される事になります。

▼PCが全滅した場合
 ライアスは、ローサやエミリアとそっくりの人間を探すため、そして、不死の聖痕を手に入れるため、各地に使者を送り、誘拐させ、同様の悪徳にふけっていきます。いつか、彼の悪徳を止める英雄は現れるのでしょうか。


 これにて、「ゆがんだ愛情」は終了です。

 当然ながらよりよいシナリオを行うために改造しまくっても構いませんし、このシナリオの続きを作っても構いません(というか、そういうシナリオパターンだし)。

 もしこのシナリオをプレイしてくれたなら、感想を無限画廊の掲示板に感想を書きこむなり、サイトマスターの偉鷹仁にメールで感想を送るなりしてください。あ、それからシナリオの続きを作ったら、内容知りたいので、偉鷹仁にメールでその内容を送ってください。

 ぜひ、お願いします。

 なお、このシナリオの書式、及び、シナリオ特別ルールは、全て銅大(あかがねだい。広島テーブルトークの会所属)さんの書式を利用させていただいた事を、ここに付記しておきます。

 それでは。

シナリオ製作 高嶋PONZZ