第7回 ルール変更、どうするの?

 

   「〈伝心〉で、映像を送りたいんですけど」

ルーラー「え? 映像?」

   「そうです。見てる景色を送りたいんですが」

B   「〈伝心〉って、差分値の文字数かアクセスカードででしか伝えられないんじゃない?」

   「でも、要は、思ったことを送るわけでしょ? それなら映像も送れるんじゃないの?」

B   「でも、ルールはルールだよ」

ルーラー「……じやあこうしよう」

 

 今回は、前回で取り上げようと思っていたと書いた、ルール変更についてです。

 これは、事前にオリジナルルールとして準備してない場合は、完璧にアドリブ技術となります。当然ながら、臨機応変さが必要になりますが、実際問題、どうすればいいのか、まったくわからないと思います。

 それでもやらなければなりません。こんなとき、どうすればいいのでしょうか。

 上記の例の返答としては、筆者なら臨時的に〈アレンジ〉と組み合わせればオーケー、とします。

 ただし、送れる映像は、今見たその瞬間の映像でなければならない、とします。

 あるいは、差分値×1秒前までの映像を1枚のみ送れる、とするかもしれません。

 ただ、これはあくまで筆者ならこうする、というだけで、他の方ならまた別のアドリブを考えるかもしれません。

 さらに、考えられるルール変更は数多に登ります。はっきり言って、すべてを網羅なんてできません。

 それでは、先ほどあげた例の、筆者の思考展開を上げてみましょう。

 

1・映像を送りたい

2・映像を写すには〈アレンジ〉が必要

3・このさいだから、映像を記憶するのも、〈アレンジ〉にしてしまえ

4・それなら、〈アレンジ〉と組み合わせればいいんじゃないだろうか

5・よし、組み合わせ判定で成功すれば、よしとしよう

 

 実際問題、〈アレンジ〉が、記憶するための技能になるかといえば、これはならないでしょう。

 しかし、コンベンションは、時間がかぎられています。論議する余裕なんてありません。

 スピーディーな瞬間の判断が必要なのです。

 だから、間違いとは知りつつも、一先ず〈アレンジ〉+〈伝心〉の組み合わせ判定、というアドリブを取ったのです。

 じゃあ、仲間内でのプレイならどうしたのか、というと、これまた同様の判定ですませたでしょう。

 というのも、わざわざそのためだけに新しい技能を作るのも馬鹿らしいですし、ルールが煩雑になっていきます。

 ルールが煩雑になっていけば、当然プレイアビリティーは低下してしまいます。

 余計な技能をふやすことで発生するルールを作るよりも、あるものですませられるのなら、それですませたほうが、後のゲーム展開を考えても楽なはずだからです。


ルーラー「……ん〜、このルールはこうなのか。ということは、ルールに書かれていないこの状況のときは、このルールに沿ってやれば問題ないな。じゃああれは……」

 

 日頃、どれだけあなたはルールを読んでいるのでしょうか。ルールの変更などといったアドリブ技術に限らず、アドリブのほとんどは日頃の想像力がものをいいます。

 では、今回のテーマにそって、ルール変更のアドリブについて、説明しましょう。

 TNRのルールブックには、ある程度細かなルールがかかれていると思います。

 端的に言ってしまえば、それらを基礎として応用をきかせることが、ルール変更(アドリブ)の初歩ではないかと思うのです。

 しかしながら、それを可能とするためには、ルールブックをどれだけ読みこむか、というところにすべてがかかっています。

 近道などない、と言ってしまうのは簡単ですが、事実でもあります。ルール変更――あるいは、設定されていないルールを即興で作る、といった場合、ルールをどこまで読んでいるかがかかってくると言っても過言ではありません。


 それでも、今すぐアドリブでルールを作りたい、という方へ。

 まず、その状況をよく理解してください。

 誰が、どういう状況で、どういう行動をとりたがっているのか、よく理解してください。

 そして、理解したら、その行動に適切な技能があるかどうか、判定があるかどうか、チェックしてください。

 該当するルールがあったら、その場面に応用してみるのです。


Celena: 芳華玲に連絡をつけたいのですが、いいですか?

RL-like: コネ判定どうぞ

Celena: クラブ7+4、11です。

RL-like: 芳「んー、今忙しいんだけど、用件は何?」

Celena: 先程の傷の録画したのを静止映像にしながら云います。

Celena: 「2秒で済むわ」傷の具合を事細やかに説明しながら「凶器はなんだと思う?」

RL-like: 芳「興味深い映像だね、‥ごめん今忙しいんだ。映像送っておいてくれたら後で答えるよ。‥どうも一筋縄ではいかないようだしね、コレ」

Celena: 「OK、ありがとう。送っておくわ」

RL-like: 芳「それじゃ‥」

――Droiz have a dream1より

 

 さて、ルールブックをめくって調べてみましょう。芳の外界の制御値は幾つでしょう。

 12、ですね。

 セレナは報酬点を積んでいるわけではありませんし、ルーラーは〈コネ〉の有利判定も認めていません。

 達成値は11です、

 通常ならば、当然このコネ判定は失敗です。

 ですが、ルーラーはとりあえず成功した事にしました。

 何故でしょう。

 推測ながら、思考ルーチンを展開してみましょう。

 

1・失敗だなぁ。でも、1少ないだけだよな。

2・こっちも情報伝えたいし、それなら、成功したことにしちゃえ。

3・そのかわり、芳は忙しいことにして、その場で教えられないことにしよう。

4・じゃあ、差分値分の1シーン後に、情報を教えてあげる事にしよう。

 

 あくまで推測ですが、こんなルーチンの元、ルーラーはコネ判定を成功としたのではないでしょうか。


 ルールは、絶対的なものさしではなく、判断基準の指標であると思います。

 杓子定規にルールを持ち出して、その場の雰囲気やストーリーの流れをとどめてしまうよりも、ルールを変更して円滑にプレイを進めたほうが楽しめるのです。

 ルールの変更、アドリブは、ゲーム進行の流れをより円滑にするための手段、と考えるべきなのかもしれませんね。